陸軍の異端児石原莞爾

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石原さんに関する本は、たくさんありますし、
今でも新刊が出続けているんじゃないでしょうか。

10年前(皇紀2669年)に
『「東京裁判」を読む』を読んで、興味を持った軍人さんが三人いました。
米内光政、井上成美、石原莞爾。
たまたま、古本市で米内光政さんに関する本を読み、
それを読んで、激しく井上成美さんに興味を持ちました。
これが、なかなかないんですよ。
そんなわけで海軍の方に流れて行ってしまったわけですが、
陸軍だからというだけでなく、
石原さんに関する本が多くて、圧倒されちゃった感じですね。
それでも、興味深い人物ですので、
手に取ってみたわけですが、今となっては、
数ある中で、なぜこの本だったのか、ちょっと理由は思いだけません。

陸軍の異端児石原莞爾

東條英機と反目した奇才の生涯

小松茂朗 〈光人社〉

  目次
 プロローグ
第一章 大器の構造
  わが宝を写す
  休日の名士訪問
  士官候補生
  陸士の名物男
  連隊長への意見具申
  心の掟
  試験官の目
第二章 毒舌と奇行
  伝家の宝刀
  河井継之助に学ぶ
  恩賜の軍刀
  二度の結婚
  秀才の本領
  板垣を知る
  ドイツ留学の成果
第三章 国境の風雲
  満州事変の主役登場
  事変ののろし
  軍司令官の迷い
  朝鮮軍との密約
  ”留め男”
  怒髪天を衝く
  予期せぬ大事件
  敵弾の中へ
  正念場に立って
  満蒙独立計画
第四章 幻の理想郷
  新政権樹立への悲願
  錦州爆撃の波紋
  起こった政変
  窮地を脱す
  満州国誕生
  一抹の不安
第五章 軍閥の相剋
  松岡全権の随員として
  被治者の立場で
  良兵良民対策
  私心はなく
  参謀本部作戦課長
  雪の日の惨劇
  陸軍のガン
第六章 怨念の火花
  盧溝橋の一発
  戦火、上海に飛ぶ
  軍人、官僚を叱る
  「東條上等兵」
  予備役志願
  驚きの連続
  偉大なる将帥
  石原式滲透戦法
  精兵主義
  ”兵は神なり”
  信賞必罰の信念
第七章 亡国への道
  一身を賭して
  軍を追われる
  日米戦への重大警告
  恐怖の時代
  対米戦略論
  故郷へ帰る
  石原と東條の会見
第八章 勝者と敗者と
  歴史の証人
  光風霽月
  俺を戦犯にしろ
  最悪の砂漠で
  極東軍事裁判酒田法廷
  軍政の大失敗
  第一級戦犯
  円形の塚
 あとがき

ボクの中で石原莞爾さんというと、
東條英機との反目、2・26事件で、
満州事件は、それほどでもない。
最も魅力を感じたのは、極東軍事裁判です。

陸軍の将軍の中には、陛下や国民に対して責任をとるため、
自決した人が多く居ます。
連合軍にたいして、「私を裁け」という意思を示したのは、
昭和天皇と石原莞爾さんだけじゃないでしょうか。

石原さんは膀胱炎がひどくて、昭和21年の正月から、
東京飯田橋の逓信病院に入院しました。
その病室に極東裁判のイギリス検事が入ってきまして、
「証人として訊問する。板垣征四郎を知っているか?」
「知っている」
「橋本欣五郎は?」
「親交はない。しかし、知っている」
「板垣征四郎と橋本欣五郎が
 どのような関係にあるか、知っているであろう」
「二人の間柄については全く知らない」
「知らないわけないだろ」
「知らぬ」
こんなん繰り返しつつ、石原さんの方が折れそうもないんで、
この検事、こんな捨て台詞を残して立ち去ろうとします。
「今日の調べはこれで終わる。
 板垣と橋本の関係を思い出しておけ。明日またくる」
「待て!コラ」
検事が振り向きますと、石原さんはこう言います。
『失礼なことを言うな。
 忘れたものなら思い出すこともあるだろうが、
 知らないものをどうやって思い出すんだ。
 オレは日本男児だ。断じて嘘はつかん」

次の日には、愛想のいいアメリカの将校がやってきました。
今度はあいさつ代わりに、石原さんが先を制しました。
「仮にワシが参謀総長だったら、太平洋戦争に勝ち抜いたはずだ。
そうなれば、立場は今の反対だった」
相手はニコニコ笑うばかり。そして、こんな質問。
「戦犯の中で、誰が一級と思うか?」
おそらく石原さんと東條さんの関係なんて知ってますから、
東條って答えてほしかったんじゃないでしょうか。
「トルーマン」
「それは大統領のトルーマンのことですか」
「そうだ」
「本気でいっているのか?」
「日本男児は常に本気である。今後そのつもりでいてほしい」
「ならば、その言葉を信ずることとして、
なぜトルーマン大統領が第一級戦犯というのですか」
「彼が大統領に就任のとき配布したビラに
“もし日本国民が軍人に協力するならば
 老人、子供、婦女子を問わず爆殺する”とあった」
「あれは脅しだ」
「なにを言うか、ビラのとおり爆撃し、多くの死傷者を出した。
B29が非戦闘員を殺傷したのは周知のとおりだ。
長崎、広島の爆撃による惨禍を忘れたわけではあるまい。
九死に一生を得た被災者でも、一生苦しまねばならぬ。
トルーマンは、この悪業をあえて実行したではないか。
一級どころか特級だ」
そのうち、戦犯はどこまでさかのぼるべきかという話題になり、
相手が日清、日露の話をしだしたんで、
「それを言うならペリーを連れてこい!
あいつが日本をこじ開けたのが元だ」

こんな調子で、昭和22年に開かれた酒田での極東軍事裁判の
臨時法廷でも、石原さんは検事らを手玉に取ります。
これがまた、傑作なんですが、
ボクの言葉なんかより本書をご覧ください。

陸軍の異端児石原莞爾


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